イクメン大国フィンランドから学ぶ、父親の育児への関わり方

「旦那が育児に協力しないのでイライラする」という女性や「子育てに興味はあるがどうしたら良いかわからない…」という男性は意外に多いのではないでしょうか?今回はそんな方々のために、イクメン大国フィンランドの事情をご紹介します。

10月19日は「イクメンの日」?

10月19日は「イクメンの日」って知っていましたか?
10(とう)さん・19(いく)じという語呂合わせからきているそうです。誰が決めたのかはわかりませんが、実はこの日、その年で最も育児を楽しみ頑張ったパパを決める「イクメン オブ ザ イヤー」の表彰や、イクメン推進企業を応援する厚生労働省の「イクメン推進シンポジウム」など、イクメンイベントが多く開催されています。

 

「イクメンブーム」到来により、子育てに積極的な男性が増えたイメージはありますよね。でも実際は「十分、育児をしている」と思うパパがいる一方、「旦那の育児への協力が足りない」と感じるママがいるのも事実です。

 

そこで今回は、駐日フィンランド大使館の参事官で、イクメン本『フィンランド流 イクメンMIKKOの世界一しあわせな子育て』を出版したミッコ・コイヴマーさんに、フィンランドのイクメン事情について取材しました!

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<ミッコ・コイヴマーさん(写真提供:Petri-Artturi Asikainen/フィンランド大使館)>

 

マッチョ精神はもう古い?男女平等が生んだ「パパが育児は当たり前」

今ではよく聞く「イクメン」という言葉。実はフィンランドにはありません。それは「父親が育児をするのが当然」だからです。

 

日本では、父親が育児に「参加する」という言い方をしますよね?でもこの表現だと、「育児は母親がするもので、男性の役割じゃない」ように感じます。
フィンランドでは、育児は男女関係なく「夫婦でするもの」であり、その考えはフィンランドの「男女平等」からきている、とミッコさんは言います。

 

2012年の「男女平等指数ランキング」では、フィンランドは世界で2番目に男女格差の少ない国とされています。ちなみに、1位はアイスランド、3位はノルウェー、4位はスウェーデンと北欧諸国が上位を占めています。日本は135カ国中101位なのでだいぶ下ですね…。では「男女平等」と「イクメン文化」にはどんな関係があるのでしょう?

 

日本では、「女は育児、男は仕事」というように、男女の役割を明確にわける風潮がありますよね?
「男らしさ」をもてはやさないフィンランドでは性別によって役割を決めません。そのため、男女分け隔てなく家事や育児をそのときどきで分担するそうです。ミッコさんも、「仕事が終わって帰宅すると必ず子供と遊び、歯磨きを一緒にして、寝かしつけることが当たり前だった」そうです。日本人からすると「できたパパだな!」と思いますよね?でもフィンランドではこれが普通なのだそうです。

 

父親の育児休暇取得率80%以上のフィンランドと2%以下の日本

フィンランドは国の子育て支援制度も充実しています。その一つが育児休暇です。フィンランドの父親休暇取得率はなんと80%以上です。日本だとわずか2%以下なので、その違いは歴然ですね。
でも、日本人男性は育児をしたくないわけではありません。東京都が2006年に実施した調査で、彼らの約69%は、「育児休暇を取得したい」と答えています。単純計算すると、父親の約65%が「育児休暇を取得したいのにできていない」状態なのです。その理由の多くは、「育児休暇について理解のない上司や同僚の視線」や「自身のキャリアへの影響」です。
これではせっかくの育児休暇制度も意味ありませんね。

 

自身も2カ月間の父親休暇をとって一人で子育てをした経験を持つミッコさんは「父親が育児に関わる上で、仕事と家庭育児の両立は重要だ」と話します。
「特に息子が歩けるようになってからは、あちこち動きまわるので家事が大変でした。オフィスでの仕事と比べても育児はやはり大変です。改めて、これまで育児をしてきた両親や妻に対して尊敬の念を抱きました。」

 

また、フィンランドは仕事に対する考え方も違います。「基本的に、朝9時から夕方17時までの8時間働き、残業はしない」そうです。残業をする人は全体のわずか10%。夜遅くまで残業をするのが当たり前の日本人からすると羨ましいですね。
「仕事が終わるとすぐに帰宅し、子どもと遊び、夕食を一緒に食べて、一緒に歯磨きをし、子どもを寝かしつける。」というのがミッコさんの日課でした。
「家族との時間はお金よりも尊い」という北欧の考えが感じられます。

 

女は強し!フィンランド人女性の活躍

「そんなに仕事を休んだり早く帰って家計や国の経済は大丈夫なの?」と心配になりますよね。でも大丈夫!北欧では夫婦共働きが基本なので、女性も男性と同じように働きに出て家計と経済を支えています。というのも、フィンランドは女性が国の労働力の44%を担う国なのです。

 

特に政治の世界での女性の活躍はめざましく、全国会議員の40%以上が女性です。上場企業の取締役に占める女性の割合は約30%と欧州で一番高いそうです。
これは、女性が安心して働きに出られるための社会制度が充実しているからでしょう。例えば、「希望する全ての子どもが保育園の入園できる権利」が法律で定められているため、日本のように入園を待つ待機児童はなく、子どもは必ず近くの幼稚園か保育園に通うことができます。
さらに、「母親は子供が3歳になるまで産前の職が保証されている」ため、女性は安心して休暇に入り、職場にも戻ってこられるわけです。

 

まだまだ日本のイクメン文化はこれから!

このように、フィンランドがイクメン大国と呼ばれる理由がよくわかりますね。ただ、環境も社会制度も異なる日本で、同じようなイクメン文化を築くのは難しいでしょう。今の日本で、男性が育児を楽しむにはどうすれば良いのでしょうか?ミッコさんに聞いてみました。

 

「たしかに、文化・政治・歴史の違う国でフィンランドの制度をそのまま取り入れるのは難しいでしょう。大事なのは、父親が子育てに関心を持って積極的に育児に協力することです。育児の大変さや楽しさは一度体験してみないとわからないものです。自分もそうでした。
そのためには、仕事もやはり大事ではありますが、子育てをするための時間を作ることが第一ステップだと思います。」

 

ただでさえ育児は大変です。朝から晩までヘトヘトになるまで仕事をしても育児を楽しむことはできませんよね!ゆとりを持って子育てすることで成長する子どもと過ごす充実感を味わえて、ママも楽になる。そして、家庭も明るくなりますね!
日本でも、安倍内閣が「育休3年」の導入や労働市場での「女性の活用」を目指し、様々な政策を打ち出そうとしています。ミッコさんも「この政策がきっかけとなり、男性がより積極的に育児に関われようになると良いですね。」と期待を寄せています。
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<ミッコ・コイヴマーさん(写真提供:Petri-Artturi Asikainen/フィンランド大使館)>
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